CHIRIMEN with ty51822r3 と CHIRIMEN for Raspberry Pi 3 の違い

これは CHIRIMEN for Raspberry Pi 3 の使い方を既に知っていて CHIRIMEN with ty51822r3 ではどのように違うのかを知りたい人向けの資料です。

コードの書き方について

ポリフィル

ポリフィルは polyfill.js ではなく blePolyfill.js を使用します。オンライン版の公開 URL から読み込むには

<script src="https://chirimen.org/chirimen-TY51822r3/bc/polyfill/blePolyfill.js"></script>

としてください。

I2C デバイスのドライバー

I2C デバイスの各ドライバーは GitHub で公開されています。

I2C デバイスのドライバーリポジトリ

オンラインで公開 URL から読み込むには、

<script src="https://chirimen.org/chirimen-TY51822r3/bc/drivers/i2c-ADT7410.js"></script>

のようにしてください。

example

CHIRIMEN with ty51822r3 の各種 example は

で公開されています。

requestGPIOAccess() および requestI2CAccess()

Web GPIO API / Web I2C API を使用するための navigator.requestGPIOAcess() および navigator.requestI2CAccess() には 接続先の BLE デバイスを指す引数が必要です。
この BLE デバイスオブジェクトは navigator.bluetooth.requestDevice() によって取得します。

BLE デバイスの選択

CHIRIMEN with ty51822r3 ではアプリが動作を開始する際に、必ずユーザーアクションをトリガーとして、ダイアログから接続先の BLE デバイスを選択する必要があります。

コードとしては、

const DEVICE_UUID = "928a3d40-e8bf-4b2b-b443-66d2569aed50";

window.addEventListener('load', function (){
    connectButton = document.querySelector("#BLECONN");
    connectButton.addEventListener("click", mainFunction);
}, false);

async function mainFunction() {
    var bleDevice = await navigator.bluetooth.requestDevice({ filters: [{ services: [DEVICE_UUID] }] });
    var gpioAccess = await navigator.requestGPIOAccess(bleDevice);
    var i2cAccess = await navigator.requestI2CAccess(bleDevice);
}

のようにユーザーが GUI 上の「BLE 接続」ボタンを押す事で mainFunction() が走り始めるという形式が定番として想定されています。

DEVICE_UUID は CHIRIMEN with ty51822r3 のサービスを表す UUID です。

制限事項など

GPIO の割り当て

Web GPIO API で使用できるポートは 0 番から 7 番の 8 本です。Web GPIO API の 0 番から 7 番がそれぞれ TY51822r3 の P0_0 から P0_7 に割り当てられています。その他のピンを Web GPIO API で制御するポートとして使用する事はできません。

I2C の割り当て

Web I2C API で使用する I2C のポートは TY51822r3 の P0_29 が SCL、P0_30 が SDA として割り当てられています。その他のピンを I2C のポートとして使用する事はできません。

この割り当ては MBED 公式の TY51822r3 のピン割り当てとは異なる事に注意してください。

パフォーマンスの制限

CHIRIMEN with ty51822r3 の Web GPIO API、Web I2C API は JavaScript インターフェースから更に BLE 接続を経由して動作するため、CHIRIMEN for Raspberry Pi 3 に比べてもかなり遅いものになります。ポーリングでセンサーを監視をするというケースで 500ms ~ 1s に 1 回程度の動作が適切と思われます。

Windows 環境での使用

CHIRIMEN with ty51822r3 は BLE 通信に Web Bluetooth API を使用していますが Windows の場合、まだフラグ付きの実装になっています (2019/01/05 現在、バージョン: 71.0.3578.98(Official Build) (64 ビット)で確認)。

Chrome のアドレスバーから chrome:flags を開いて、Experimental Web Platform features の項目を Enabled に設定してください。 また Mac 版にくらべて安定性について多少問題が残っています。長時間の稼働などで問題が発生する可能性があります。